9月最初の散歩2

国際こども図書館の次に訪れたのはお隣り東京国立博物館(トーハク)東洋館8室で開催中の『常盤山文庫の名宝』へ

 

以前気に入ってしばらく眺めた逸品「茉莉花図」と再会、牡丹や芍薬のような目を惹く派手さはないけれどしばらく眺めると不思議と情が湧いてくる。そして軸絵はあくまで設えの一部に過ぎず、と思えてくる。茶の世界で一級品扱いだったというのも納得。茶道具一式との"調和"にこの優品が重宝されたのだろう。眺めれば眺めるほどその場を離れ難い名宝。

 

 

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(前回ケース展示撮影)

 

 

本日の出会い!焼き物編

 

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貫入(かんにゅう)とは

陶磁器における貫入とは釉薬の表面にできたひびの事です。ガラス質の釉に入った貫入は、光を受けて私たちに多様な表情を見せてくれます。日本や中国では古来より鑑賞上の見どころのひとつとなっています。

 

好みはそれぞれですがヒビの入り具合・模様を景色として鑑賞する楽しみ方があるのは実に面白いなと。


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米色青磁とは二重貫入を試みた結果偶発的に発生したものという説も面白い。登り窯など焼き物の最後に命を吹き込むのは炎と言われます。その日の天候や湿度風向き火の番等それぞれが複雑に作用し作品が完成する。名匠でも窯から出すまで作品の出来はわからないとか。まさに一期一会。

 

茶碗の不思議、面白さ、偶発的といえば、、

 

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曜変天目茶碗(稲葉天目)

静嘉堂文庫美術館

 

今となっては再現が非常に困難とされ、また、当時は漆黒に大小の斑紋が不気味だからと破棄されていた中国・南宋時代(12〜13世紀作)の"曜変天目茶碗"も偶発的に発生した説がある一方で当時の最上層の人々の使用品だったとする説もあり。この両方の説があるのも面白い!しかも作者不明。本国中国には完全な状態の曜変天目茶碗は1点もなく、現存するのは鎌倉〜室町時代に渡来した3点のみ(4点とする場合もあり、興味がある方は調べてみてください)すべて国宝。本国で不吉とされ破棄された説がある茶碗が日本では価値ある大名物とされ時の権力者へと渡り今現在1点は東京・静嘉堂文庫、1点は京都・大徳寺龍光院、1点は大阪・藤田美術館所蔵。

時の権力者たちは漆黒に煌めく斑紋に何を感じたのでしょうか。

 

実物に興味を持たれた方はこちらどうぞ

3椀のうち最も煌びやかとされる曜変天目が展示されます

 

静嘉堂文庫美術館(丸の内)開催

「二つの頂─宋磁と清朝官窯─」

2023年10月7日(土)から12月17日(日)

https://www.seikado.or.jp/exhibition/next_exhibition/

 

 

青磁瓶の貫入の景色を眺めながら人さまとのご縁を考えた土曜午後でした。