駆け込みバースジャンプ

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『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

 

上映終了が増えてきたのでこれからしばらく蛍の光よろしく「上映してくれてありがとう!駆け込みバースジャンプフェア」開催です

 

もちろん、そんなフェアやってないです笑

劇場に感謝を込めて足を運びたい、ただそれだけです

手始めに本日プチ遠征してきました

なんとなんとなーんと、入場者特典のハガキgetです😭期待していなかったので貰うとき顔がニヤけました、キモかったかも笑 まいっか。

 

愛すべき登場人物について、鑑賞記録として記しておきます

 

今回9回目👀なのですが、やはりウェイモンド(キー・ホイ・クァン)のキャラがいいです、いい人です。

優しいだけが取り柄の現実世界の彼はエブリンをそばで見守り2人の関係を何とか修復しようと策を練ります。冒頭から最後まで一貫していつも彼女を想い続けている。親切で忍耐強い彼を思うと泣けてくるんですよね。なぜだろ。

 

後半、ウェイモンドの名言「優しくなって」からの流れでドビュッシーの"月の光"が流れるのですが、作品の根幹となるテーマ"エンパシー"をユーモアを交えながらここまで表現されると監督お見事ですとしか言えません。『マトリックス』のウォシャウスキー監督もビックリの素晴らしいシーンとなっています。私的映画史に燦然と輝く✨名シーンの誕生です🎬

 

税務職員ディアドラ(ジェイミー・リー・カーティス)のフランス訛り、彼女とエブリン(東洋人)が戦う時にドビュッシーが流れるのには深い意味がありそうだし、指がソーセージの世界は映画『キャロル』のオマージュであり娘ジョイのクィアを理解するために必要不可欠だったといえるでしょう。

 

それから何と言ってもエブリン(ミシェル・ヨー)が魅力的に描かれている。驚いたときの瞳、鳥の鳴き真似した時のとぼけた表情、宙の世界にいる時の遠い目、書類の山に頭をかかえる困惑した顔、戦士の顔、ラストの娘を見つめる慈愛に満ちた母の表情は何回観ても飽きないし安らぎます。急ですが改めましてアカデミー賞主演女優賞おめでとうございます🎊私が子供のころから観てきたスターだからかな、時間とともに喜びが増しています。

 

娘のジョイ(ステファニー・スー)

繊細で優しくて不器用で、芯が強い。母との対立毎にそれに合わせて表情がコロコロ変わる。衣装もカジュアルなものから女子プロレスラーや奇抜なものまで何パターンもある。それは親に認めて欲しい、私を分かって!と懇願しつづけやがてマルチバースの世界で全てのジョイ自身を通過した苦悩の現れ、虚無感、闇の深さでもある。この複雑な感情を吐露した先で本音を吐いたジョイの言葉に毎度涙が溢れる、いい映画だと思う。

 

女子プロレスラーのシーンについて

ジョイの彼女ベッキーはメキシコ系移民、プロレスが盛んな土地柄。それとプロレス発祥はフランスだとか。ディアドラもプロレス技ありましたね。

 

エブエブから手繰り寄せたわけではないけれど気になって手にした本「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」にはエンパシーについての作者の考えが示されてあり、この映画と共通する他者を知る事想像する事からはじめようというメッセージが今の世界に最も重要な事として心に刻まれました。それは知る作業、行動する事でもある、と。この本は読みやすく一気に読み終えたものの英国の貧富の差、人種差別、いじめなどの社会問題の重圧に自らの答えを探し出せずしばらく考え込んでいた。ので、改めてレビューします。

 

最後に

 

省略エブエブのダニエルズ監督はインタビューでこのように発言されています。(BRUTUSより)

 

「(見てくれる)人々から吸い取る時間に価値がある。どうせやるなら、最も倫理的な方法を考えましょう。観客のことを考え、観客にとって有益な、教育的な体験となるような方法を考えようではありませんか」